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そもそも銀行に担保を出して何かいいことがあるのでしょうか?
答えはもちろん「ありません!」です。
担保を出すと銀行の資産は健全化しますが、逆に我々会社側の資金繰りは悪化します。
具体的には担保を出すと、
・担保物件を処分した際に手元に一銭も残らない
・いざという時に担保余力を使った資金調達ができなくなる
となります。
担保差入れは、損益計算書にも貸借対照表にも現れませんが、大変なマイナスなのです。
つまり完全に「とった、とられた」という問題です。
ですから担保が必要だといわれたら、堂々と「担保は出せない」と答えるべきです。そこからが交渉の始まりです。
少なくとも、銀行に言われるがままに担保を差し出すよう会社は要注意です。
不動産をいくつか持っている会社がやむを得ず担保を差し入れる時には、複数銀行で担保権を交錯させない「1物件1銀行主義」を目標にするといいでしょう。
このことをケースで説明してみます。
<追加担保要請を受けたA社のケース>
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●債務者A社は、X銀行とY銀行から借入がある。
借入残はX銀行1,000百万円、Y銀行300百万円である。
●X銀行には評価額
600百万円の物件<1>を担保として差し入れている。担保権の設定は以下の通りである。
物件<1>・・・評価額
600百万円
1.抵当権 700百万円 〜 X銀行
2.抵当権 300百万円 〜 X銀行
※X銀行の担保カバー率は60%(600÷1,000)
●Y銀行には評価額
500百万円の物件<2>を担保として差し入れている。担保権の設定は以下の通りである。
物件<2>・・・評価額
500百万円
1.抵当権 300百万円 〜 Y銀行
※Y銀行の担保カバー率は100%(500>300)
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A社は、業績不振により資金繰り難が続いている。
今般X銀行から、担保価値の下落が著しいことを理由に、物件<2>Y銀の後順位への追加担保設定(※)を要請された。
なお、X銀行から金融支援を受けられるかどうかは未定である。
※物件<1>に設定された抵当権
700百万円の共担設定
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⇒
担保設定を「承諾」した場合に想定される状況
1)X銀行の担保カバー率は60→80%に向上。
一方、物件<2>の担保余力を活かした新規資金調達の可能性はゼロに。
2)物件<2>を売却処分しても、売却代金は全て銀行返済に回さなくてはならず、資金繰りの改善効果は元金返済による
支払利息減少にとどまる。
3)物件<2>の売却時の返済額について後順位のX銀行と話がまとまらない。
これにしびれを切らしたY銀行は競売のほうが得策かと考え始める。
4)担保割れが改善したX銀行は、法的倒産を視野に入れた強気の交渉を仕掛けてくるようになる。
⇒
担保設定を「拒絶」した場合に想定される状況
1)物件<2>の担保余力を使った新規資金調達はY銀行他から可能。
2)物件<2>を売却、余力200百万円(評価額500百万円−Y銀行残高
300百万円)を運転資金に充てることで資金繰りは安定。
3)物件<2>の売却処分は銀行との相談なしで可能。
4)X銀行は担保割れが残っているため、物件<1>の競売にも着手しにくい状況。
少なくとも任意売却が終わるまでは「A社を生かしつつ回収する方針」に。
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上記のように承諾するか、拒絶するかで企業の生死を分けるほどの違いが生じます。
1物件1銀行主義がよいのは、特に3)のように物件の処分を巡った争いがよく起きるからです。こうなると、必ず特定の債権者が競売申立を交渉カードにする状況が生まれます。そして債権回収に慣れた債権者ほど、本当に競売を申立てます。心理的圧迫で交渉を有利に進められるだけではなく、最低売却価格を把握できるメリットがあるからです。
担保の保有、処分についてスムーズに調整できないと社長の想像をはるかに超えて危険な状態に陥ります。担保権交錯によるこのリスクを軽視してはいけません。
1物件1銀行、シンプル・イズ・ベストです。
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