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企業再生では「修正バランスシート」「清算バランスシート」などと呼ばれる貸借対照表の変形版を作成します。
(私がよく使う修正BSのフォーム)
表面 修正額
実質 備考
資産 ○○円 ▲○○円 ○○円
負債 ○○円 +○○円 ○○円
資本 ○○円 ▲○○円 ▲○○円
一般に中小企業の貸借対照表は、価値のない資産が計上されていたりして実態を表していません。このため、貸借貸借表を時価に近づける形で再計算しなければ本当の財政状況が分からないのです。
修正BSで算定される実質債務超過額は「今すぐ会社を清算した場合に残る借金総額」を表します。
※ 実質資産−実質負債=実質債務超過額
この数字は、債権者にとって大変重要な意味を持ちます。
なぜなら、今後、債務者が営業活動で債務超過額分の利益を計上できるのであれば、理論上、債権者のとりっぱぐれはゼロになるからです。(=負債に見合った資産が存在する状態に戻る)
逆に、債務超過分の利益計上が困難であれば「早く回収した者の勝ち」という状態になります。この状態が続くようであれば最後は自己破産しかありません。
こういう理論を背景に、現在「実質債務超過を5年で解消できるかどうか」が中小企業の再生判断の目安になっています。
ケースにもよりますが、債務超過解消に5年以上かかるような場合は、民事再生法等の法律を絡めた再建手段を併せて検討することになります。
修正BSのラフなフォームは前述の通りですが、実際の作成にあたっては、資産と負債の一つ一つの勘定科目ごとに修正額を記入していきます。
資産の部の修正は、売掛金の内容や土地の時価評価に基づく減損計算が中心になります。いずれ特別損失を計上するものを、今の時点ではき出してしまうわけです。
一方、負債の部では、役員借入金を自己資本に振り替えたり簿外債務を加算したりと、実態に合わせて変則的な計算をしていきます。
なお、債権者との交渉が法的清算とのバーターになるなど相当シビアな状況にある場合は、1か月分の解雇手当や裁判所予納金などを付記した「清算バランスシート」を作成することになります。(要するに、さらに切羽詰った配当金額を算定する表です)
しかし、資金繰りの維持やリスケジュールがメインの問題になる任意交渉では、上記程度の修正BSで話を進めることが多いようです。
実質的な債務超過額(あるいは資産超過額)を把握すれば、経営戦略やビジョンも変わります。この数字が、廃業すべきか、2代目に債務を引き継がせるか、会社ごと売却すべきか、など社長にとっての最重要問題に絡んでいるからです。
修正BSの作成は、私が必要と考える中小企業の財務力高度化技法の一つです。
今回は再生企業のことを中心に書きましたが、そうでない会社にも修正BSは現状認識の必須ツールなのです。
是非、取り組んでみてください。 |