リスケジュール(リスケ)・銀行交渉・資金繰り健全化コンサルティングに数多くの成功事例を持つ経営コンサルタント安田順コラム
「会社再建イロハのイ」(毎月更新)

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少人数私募債は好況期に手がけておく (2005/11)

数年前から「少人数私募債」が中小企業の資金調達方法として見直されるようになりました。
  
手続きが簡単なこともあって、私のクライアント先でもこれを使っているところが結構あります。
  
しかし、少人数私募債は実態をよく理解して使わないと危険な部分がありますので、今日はそこのところをお話します。
   
  
●少人数私募債の実態は「借入金」
   
  少人数私募債を発行した後は、最低でも年に1回は利息を支払い、満期には元金をまとめて返済することになります。
  
  これは「期限一括返済」の条件で借金をしたのと同じ状態です。
  違うのは、銀行借入よりも返済期間を長めにとれるということだけです。(※)
  
  法的に言っても、私募債の発行によって出資を受けるような意味合いは全く生じません。
  
  期限がくれば元金を返済しなければなりませんし、返済できなければ社債権者は法的手段による回収に着手できます。
  借入金と同じように、あらかじめ連帯保証人や担保をつけることも可能です。
  
  このように私募債の内容は借入金と何ら変わらないのです。
  
  むしろ私募債では期限一括返済になるため、銀行借入以上にしっかりとした資金管理が必要になります。
  
   ※設備資金3〜5年、運転資金で2〜3年程度の事例が多いようです
  
  
●複数の社債権者を抱えるリスク
  
  少人数私募債の最大の特徴は、社債券を小口に分割して複数の購入者(最大49名まで)に発行できることです。
  
  しかしこのメリットの反面、中小企業が複数の社債権者に依存すると財務的な防御力が弱まります。
  
  例えば、社債の満期時に返済原資を確保できなくなった場合を考えてみましょう。
  
  この時会社は、社債権者に償還期限の延長について交渉しなければなりませんが、交渉する相手の数が多ければその分の労力
  を要するということになります。
  
  また、社債権者に顔の見えない第三者が紛れ込んでいると、強硬に回収されたり悪い評判を流されることもあります。
  
  したがって私募債では、できるだけ1口の額面額を大きくし、関係の深い相手に絞り込んで発行することが重要です。
  
  
●銀行融資が受けにくくなることも
  
  少人数私募債を発行することで銀行からの評価が向上する、ということがメリットとして参考書等に書いてありますが、これは期待
  しないほうがいいでしょう。
  
  逆に、私募債で複数の個人から資金調達していることを銀行にマイナス評価され苦労している会社も多いのです。
  
  発行してみたら話が違った、ということが無いように注意してください。
  
  
●調達コストは銀行借入よりも高い
  
  少人数私募債では、お金を貸してくれる人に「投資」というイメージを持ってもらうことが必要です。 
  
  このため、預金や投資信託を上回る高めのレートを設定する必要があり、通常は銀行借入よりも金利は高くなります。(※)
  
    ※私の関与した最近の事例では6%前後が多くなっています
  
  
●少人数私募債のメリットは予備的資金調達手段の確保
  
  それでは、少人数私募債のメリットとは何でしょうか。
  
  それは、社債という体裁を整えることで、お金を借りる相手に投資という意味合いを強調して資金を調達できることです。 
  
  したがって、赤字続きで本当に資金が必要になってからでは発行するのが難しくなります。
  
  調子のいい時に発行して知人や取引先に返済実績を作っておき、不況期に備える。
  
  これが少人数私募債への正しい取り組み方でしょう。
 

 

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