|
中小企業が銀行から新たに融資を受けられるかどうか、会社再建への支援が得られるかどうかは、金融検査マニュアルに定められている「債務者区分」で決まると言っても過言ではありません。
債務者区分は、銀行の貸出回収方針そのものとして運用されており、行内の信用格付とも整合性を持っているからです。
したがって、金融検査マニュアルは中小企業の重要な経営指針になるわけですが、あいにく、かなりのボリュームがある上に金融の専門用語が多く、経営者にとって難解なものになっています。
また、債務者区分の説明には「・・・等を総合的に勘案して判断する」といった抽象的な記述が散見されます。こういう内容では、具体的にどうのように努力すれば企業が報われるのか分かりません。
そこで、多少大雑把になっても債務者区分の「数値的に明確な部分」を把握し、それを経営目標や財務戦略に反映させていく姿勢が大事になります。
今回は1回目ですので、債務者区分の概要を説明します。
1.正常先
・業況が良好で財務内容に問題がない債務者
2.要注意先
・業況が低調、財務内容に問題のある債務者
・金利減免など貸出条件に問題のある債務者
・返済状況に問題のある債務者
3.要注意先の要管理先
・要注意先の内、3ヶ月以上延滞したり貸出条件の緩和を受けている債務者
4.破綻懸念先
・経営破綻はしてないものの経営難の状況にあり、経営改善計画書の進捗が芳しくない債務者
・実質債務超過で業況が著しく低調な債務者
・延滞(6ヶ月未満)している債務者
5.実質破綻先
・経営破綻の事実は発生していないものの、再建の見通しの立たない債務者
・長期間延滞(6ヶ月以上)している債務者
6.破綻先
・経営破綻している債務者
このように、返済能力が十分ある会社は正常先、十分ではない会社は要注意先以下に分類されます。
分類のポイントは基本的に「返済力」であって、その大部分は業況、財務内容、返済状況、貸出条件で測定されます。
銀行の自己資本比率の算定では、債務者区分をさらに担保力や保証人の保証能力で調整しますが、融資判断でモノを言うのは債務者区分の方です。
実際、正常先であれば「借りてください」と銀行の方から営業してきますし、逆に要注意先であれば融資に難色を示されたり高い金利を設定されたりします。
また銀行に対してリスケをお願いする場合でも、経営改善計画書の計画期間終了後に債務者区分が正常先になることが重要なポイントになっています。
なお、実質破綻先以下は会社の清算を検討する段階ですから、平常時は正常先〜破綻懸念先までの境界線がどういう点にあるのかということを中心に押さえておけば十分でしょう。
次回以降、この境界線について具体的に説明していきます。
※ブログの方でも順次解説していく予定です。
→ http://blog.livedoor.jp/yasudakeiei/
|