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財務関係のコラムが続きましたので、今回は逆境下の中小企業にとって現実的な脅威となる「法的回収手段」について書きます。
金融機関から見ると、競売や強制執行などの法的手段に着手した後は、その債務者からの一部入金や積極的な担保物件売却は期待できなくなります。さらに法的手段をきっかけに自己破産されると、金融機関の回収総額は減ってしまいます。このため、法的回収はぎりぎりまで行いたくないというのが金融機関の本音です。
それでも金融機関が法的回収に着手するのは、主に債務者企業が長期に渡る延滞を放置したまま”没交渉”にしている時です。
よって、本気で会社を再建しようと考えるのであれば、安易に金融機関との話し合いを放棄してはいけません。これは相手がサービサーであっても同じです。
もっとも、このような努力をしても何が起こるか分からないのが債務の問題。法的回収についてもある程度のことは知っておく必要があります。
以下、そのポイントをお話します。
●競売
金融機関は通常、強制執行の前に、担保権の実行、いわゆる不動産競売の申立を行います。競売を申し立てられることは由々しき事態であることに違いありませんが、競売によって直接会社がつぶれることはありません。申立て後は、返済と任意売却の交渉を並行して行い、最終的に第三者が応札することになっても、積み残しになった残債(未回収債権)の返済について債権者と話し合っていくことになります。
競売されると全てが終わるというような感覚があまり強いと、金融機関との冷静な話し合いが難しくなりますので、注意してください。
●強制執行
債権回収の目的で行う強制執行は、ある程度パターンが決まっており、差押えの対象にされる主なものは預金、売掛金、不動産、賃料、給料、有価証券、動産といったところです。
強制執行では、担保権の実行とは違い、事前に「債務名義」という強制執行を認める文書が必要になります。
<主な債務名義>
1 確定判決
2 和解調書、調停証
3 仮執行宣言付支払督促
4 公正証書(強制執行の認諾文言あり)
1〜3は裁判所が関わるもので、金融機関にとって手間のかかるものです。4は、債務者が協力してくれれば、公証人役場ですぐに作成できるため、融資やリスケの際でも要求されることがあります。すでに公正証書を作成している場合は、強制執行のリスクが高いと言えるでしょう。なお、強制執行の手続きでは、その他に執行文、送達証明という文書が必要になります。
金融機関が強制執行を申し立ててるにあたっては、裁判所から差押える財産の「特定」を問われます。裁判所によってこの判断は異なりますが、概ね次の程度のことがはっきりしていれば、申立は認められるようです。
・預金:支店、口座名義人
・売掛金:相手先、種類、金額など
・不動産:地番、家屋番号(登記簿謄本添付が条件)
・賃料:賃借人の氏名
・給料:勤務先
・動産(含、有価証券):債務者が占有する動産の所在地
一般に動産は、強制競売してもさほどの回収は見込めず、強制執行の対象にされるケースは少ないです。
逆に預金、売掛金、保険金、賃料などの債権、不動産は回収額が大きくなるため、狙われやすくなります。
給料差押えも行われますが、債務者の会社が支払う代表者の給料を押さえても意味がありませんので、これは主に会社勤務の第三者連帯保証人が存在する場合の話です。
競売と違って強制執行は、金融機関の担当者が独力で行うことは少なく、通常は顧問弁護士に相談しながら行います。このため、
比較的冷静に回収可能性を吟味する傾向にあります。
●仮差押え
債務名義をとる手続きをしている間に、財産を処分されたりすれば、金融機関は債権回収ができなくなります。そういった事態の保全策として仮の差押えを認めるのが仮差押えです。仮差押えは保全命令で効力を生じ、債務名義、執行文なしで執行されます。
保全策と言っても、不動産であれば実際に仮差押えの登記がなされ、債権であれば第三債務者(相手方)に対して債務者への返済を禁止する命令が出ます。
このため仮差押えによる債務者に対する心理的圧迫は大きく、金融機関が交渉カードを握ることを目的に仮差押えに着手することも多いのです。
例えば、A銀行が1順位抵当権を設定している物件の後順位にB銀行の仮差押えが登記されれば、A銀行は再建支援の方針を転換して競売を申し立てるかもしれません。となると、債務者はB銀行に仮差押えの取り下げを求めて、多少無理をしてでも返済せざるを得なくなります。
一方、仮差押えでは金融機関側も多額の保証金を積まなければなりません。金融機関は保証金の運用損も考慮して、仮差押えを行うかどうかを検討します。
※ブログの方でも順次解説していく予定です。
→ http://blog.livedoor.jp/yasudakeiei/
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