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中小同族会社では「法人と個人は別人格」という一般論はほとんど役に立ちません。理由は、現実の制度がそのようになっていないからです。
例えば、税務上容認されるぎりぎりの経費(役員報酬など)を計上して会社の利益を圧縮すると、逆に、会社と経営者を一体で見た場合のキャッシュフローは増加するといったことが起こり得ます。
こうして節税した資金で経営者が会社に増資(または貸付)していくとすれば、おのずと「会社で利益を出すことって本当に得なの?」
という疑問が生まれてきます。
また、事業継承を意図して相続税を考慮するとなると、いよいよ会社と個人一体で見た場合のキャッシュに差が出てきます。
一方、社長は会社の借入金を全て連帯保証し、個人資産を担保に差し入れています。
こうした現状で「法人と個人は別人格」と単純に考えることは不可能であり、ナンセンスとさえ言えるでしょう。
さて、会社・個人一体で節税したいというこの考えに真っ向から対立するのが「銀行融資」です。
つまり、節税を考えると反対に銀行融資は受けにくくなるという現実の問題です。
金融検査マニュアルは、経営者の個人資産等を加味して債務者区分を行うよう銀行を指導していますが、実際の融資判断では圧倒的に会社の決算書が重視されています。
また最近、銀行や保証協会は、金利、保証料を決算書のリスクに応じて引き上げています。節税はしたけれど、逆に金利負担はあがったということも十分に考えられるわけです。
対策を私なりに整理しますと、次のようになります。
1.銀行依存度<低>の場合・・・節税重視
銀行から折り返し融資を受けなくても十分に資金繰りが回せるのであれば、決算書の見てくれをあまり気にすることなく節税を考えられます。
2.銀行依存度<中〜高>の場合・・・(税負担してでも)決算書重視
折り返し融資なしではやっていけない時に安易に赤字を出すと、融資が止まってピンチになります。経費削減等で決算書が悪くならないよう注意し、借入のローテーションを計画する必要があります。
また多くの場合、資産処分等による特別損失計上もタイミングをみて実施することになります。
なお、当然のことですが、こういった時でも粉飾の誘惑に負けてはいけません。(後でしっぺ返しがきます)
3.リスケ等で銀行支援を受けている場合・・・経常+節税重視
銀行が支援継続にあたって重視するのは、最終利益よりも経常利益です。役員報酬を含めて経費は精一杯削減し、早急に経常を黒字にしなければなりません。
運悪く繰越欠損が使えない場合は、資産科目で特別損失を計上して税負担を抑えます。(この状況では、通常、債務超過になっても特損計上に踏み切ります)
4.企業再生のために債権放棄が必要な状況・・・節税重視
まず債務免除益についての対策が必要になります。
また、銀行からサービサーへ債権譲渡が行われる場合は、営業利益が大きいほど、譲渡価格があがります。(その分、サービサーとの交渉難易度もアップします)
新会社を設立して営業権を売却する場合でも、旧会社が黒字であるほど新会社における必要資金は大きくなります。
このように多くの場合は節税重視になると思いますが、様々なケースが想定されますので、専門家へのご相談をおすすめします。
さて、上記2は税金と金利を目一杯負担する財務体質です。
借金の好きな社長なんて一人もいないのに、なぜ多くの中小企業がこんな状況に陥ってしまうのでしょうか?
私も税金を全く払わない会社はダメだと思っていますが、あの手この手でなんとか銀行依存度<低>の状態にし、バランスのいい判断をしたいものです。
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