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不況はむしろこれからが本番と思われます。すでに、銀行融資で借換え体質に陥っている会社は、目先の資金繰りのみならず、これからの2〜3年をどう凌ぐか、という観点から方針を決定していくべきでしょう。
現在のような貸し渋り期に入ると、銀行や保証協会から、借入の上限額を意識した対応を受けることが多くなります。つまり、借入総額が一定の枠を超えると、それ以上の融資はどう転んでも出ない。現在、実施されているセーフティネット融資(緊急保証制度)でも、既存借入の一部返済を融資の条件にされるようなケースが目立ちます。これはつまり、会社ごとに、借入総額〜〜円まで、という借入限度額が明確に設定されているという事でしょう。
今後の方針を検討するにあたっては、こうした自社の借入限度額を把握した上で、金融機関からの借入を「純増・純減」
の視点でみていくことが重要です。
例を挙げてみます。
年商30億、総資産35億、銀行借入残20億の電気機械器具製造業。
銀行借入の内訳と、現約定に基づく借入残高の推移予定は以下の通り。
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前期末
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今期末
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来期末
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主要行
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15億
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13億
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10億
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下位行
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5億
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2億
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0億 |
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計
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20億
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15億
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10億
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同業界の財務指標から分析すると、同社の借入総額が警戒ゾーンに達するのは12億〜20億円であり、よほどの個別材料がない限り、現在の20億を上回る借入は難しい。
もし今期以降の業績がもう一つであれば、借入残高20億円を、この2〜3年、どうやってキープ(残高維持)するかが、この会社の最重要課題になります。
今期の純減予定額▲5億(今期末15億−前期末20億)をそのまま返済すれば、早々に資金繰り破綻してしまうからです。
全行が今期の純減額をシェア割で融資してくれるのであれば、問題はありませんが、警戒ゾーンまで借入を膨らませた会社にとって容易なことではありません。
多くの場合、まず下位行が腰引けします。不況の最中、借入の多い企業に融資する理由がないからです。
となると、必然的に、主要行に対して、自行の残高維持+下位行の純減分▲3億(今期末2億−前期末5億)の融資を依頼することになります。
もし、主要行が下位行分の融資を渋るようなら、最悪、全行に対してリスケジュールを依頼することになります。リスケになった場合は、2〜3年の間、利払いとわずかな金額の約定返済を行いながら業績回復に努め、1年程度のスパンで銀行から審判を仰いでいく形になります。ただし、リスケは、交渉リスクや融資再開のハードルの高さを考慮すると、あくまでも苦肉の策、最終手段ということになります。
(リスケによる残高維持)
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前期末
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今期末
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来期末
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主要行
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15億
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15億
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15億
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下位行
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5億
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5億
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5億
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計
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20億
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20億
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20億
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→
リスケ継続
or
融資再開 |
さらに、今期は融資でつなぐことができても、赤字が見えている場合は、決算書の審査で来期の融資を拒絶される可能性が出てきます。ただし、この場合は若干時間的な猶予があるのが救いです。
来期を迎える前に、経営改善を強化したり、少人数私募債で資金調達したりと、何らかの打開策が見つかるかもしれません。
ちなみに、銀行からたくさん借入すると、なぜこんな風に苦労するのか。
主たる原因は、借入金額の大きさもさることながら、返済期間の短い借入を乱用することで、利益とリンクしない過大な約定返済を負ってしまうことにあります。
上記の例で言えば、下位行の返済。借入残高が警戒領域に達する会社は、必ずと言っていいほど、複数の金融機関に残高を散らし、自ら無理のある返済条件を作ってしまう。
今後、再び好況期が訪れても、このことを忘れないようにしたいものです。
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